君は天使?それとも悪魔?出会ってしまった午後6時。
「今日は話せてよかったよ。用事がなければご飯に行きたかったんだけど…ゴメンね。また今度。」
「うん、私もほんとうに楽しかった。また会おうね。」
「じゃあね。また連絡する」
「うん、じゃあね」
僕は、この日、初めての連出しを体験した。
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ある休日。
僕は朝からひどい気分だった。
何をするにもやる気が起きない。
思考するのが億劫だった。
ただ、眠りたい。何も考えたくない。そんな気分だった。
でも、せっかくの休日は有意義に過ごしたい。
僕は地方のに住んでるので、休日しかストリートに出ることが出来なかった。
あまりストリートに出ていられる時間は長くない。
一日でも多く、声をかける練習をしなくちゃ。
このままじゃ、一生成果をあげることなんか出来ない。
その思いで、外出するための身支度を始めた。
午後1時
僕は渋谷に降り立った。
ナンパといえば渋谷というイメージがある。
確率の行為であるナンパを行う上で、一番重要なのは、いかに多くの女性に対して声をかけるかということだと思っている。
それをふまえると、どこでナンパを行うか。
バンパを行う場所を選ぶという行為は、とても重要になってくる。
今日も相変わらず多くの人が行き交っている。
さて、どうやって声をかけようか。
頭ではたくさん声をかけなくちゃ、ビビってる場合じゃないぞ!と考え、分かっているつもりでも、やっぱり地蔵に陥ってしまうのです。
また、今回も地蔵で終わってしまうのか…?
そんなの嫌だ!
僕は地蔵解消の荒療治として、1時間に10人に声かけることを自分へ課題を課した。
自分に自分が課題を課したところで、あまり効果は無いように思っていた。
でも、ゲーム感覚でやってみると、思ったより地蔵をしなかった。
1人目、2人目、3人目と、どんどん声をかけることが出来た。
声をかければかけるほど、どんどんテンポが上がってくる。
余裕が出来てくると、相手のガンシカがなくなってくる。
イヤホンを外してくれる人がほとんどだ!
なんだか、今日は行ける気がする!
そして、1時間後…
僕は、目標を達成することが出来た。
連出しはおろか、バンゲすらできなかったけど、僕は満足だった。
今日ほど、ナンパをすることが楽しいと思ったことはなかった。
目標を達成することが出来た僕は、次に本屋に行くため、電車に乗り込んでいた。
ランナーズ・ハイだったのか、興奮で疲れを忘れていたようだ。
電車に揺られている間、ボーっとさっきまでの声掛けを振り返っていた…
某駅到着
ここは、いつ来ても変わらない。
僕は、ストを始めるまで、いつもこの街に来ていた。
ストを始めてからあまり立ち寄らないようになっていたけど、今あらためて見ると、街の雰囲気が違って見えた。
おそらく街が変わったのではなく、僕の目線が変わってしまったのだと思う。
でも、いつも行く本屋は変わらない。
しばらく本を物色していた。
さて、もうすぐ帰らなくてはいけない。
約束があるからだ。
僕は駅に向かった。
駅着
ちょうど帰宅する人が集まってくる時間帯。
多くの人で駅構内は賑わっていた。
僕は人にぶつからないよう、周囲を気にしながら歩いていた。
さて、もうすぐ改札だ。
そうやって、改札に近づいた時、ある女性の姿が視界の端をすぎさった。
僕は、ハッとした。
あの子と話したい。
いつもの地蔵はどこへやら。
改札に入らないで、その場でUターン。
僕は彼女を追いかけていた。
思ったより早足の彼女を見失わないように、誰かにぶつからないように。
急げ、急げ!
僕「こんばんは!」
僕は、彼女の少し前から声をかけた。
彼女「はい?」
僕「実は今から帰るとこだったんですけど…可愛いなって思って、声をかけに来ちゃいました!」
彼女「ええーw」
僕「非常識なお願いなんですけど、もし良かったら、一緒にコーヒーでも飲みませんか?」
彼女「え、今からですか?」
僕「はい!」
彼女「ちょうど、そこのコーヒーショップに行こうと思ってたとこなんです」
僕「あ、そうなんですね!じゃ、せっかくなんで一緒に行きましょう!」
彼女「いいですよ^^」
と、こんな具合で、彼女の連出しが決定した。
コーヒーショップでは、彼女の仕事、出身、年齢から、他愛もない話をした。
恋愛遍歴は聞き出せなかった。
というよりも、コーヒーショップでそこまで聞き出すのはどうなのか?と、自分の中で疑問に思うところがあった。
本当に、この後用事があったので、結局1時間ほど話をして、彼女と別れることになった。
コーヒーショップから出る間際、番号交換をお願いしたら、あっさりOK。
ご飯に行きたかったね、という話をしたら、彼女も、行きたかったです。別に今からでも行けますよ。と好感触だった。
駅まで一緒に行って、そこでお別れ。
「今日は話せてよかったよ。用事がなければご飯に行きたかったんだけど…ゴメンね。また今度。」
「うん、私もほんとうに楽しかった。また会おうね。」
「じゃあね。また連絡する」
「うん、じゃあね」
これが、初めての連出しの一部始終。
全然結果が出なくて、もうストをやめようかと思っていた時の出来事。
僕は、彼女との出会いで、まだ諦められないなという気持ちになりました。
この出会いは、僕にとっての幸運となるのか、はたまた不幸となるのか。
いまの僕には、まだわからないことです。