ナンパオトコは猛虎の夢を見るか?

尊大な羞恥心と臆病な自尊心。人喰い虎と成り果てた男の物語。果たして、人に戻れるのでしょうか。

納涼船ナンパに夢はあるか?

前回のあらすじ

 

僕は衝動的に、納涼船に乗りたくなりました。

船着場には、沢山の人。

浴衣美女もたくさんいることで、僕の期待はムクムクと膨らんで行くのでした。

 

そして、乗船の時。

乗船待ちの長蛇の列がなくなった頃を見計らい、船に乗り込みました。

 

当日は、相棒との合同乗船。

乗船中の2時間の間、どう動くのか、軽く打ち合わせました。

 

乗船し、お互いビールを取り、早速乾杯。

世間話もそこそこにし、早速船内の散策に回りました。

 

船内には、グループやペアと様々。

とりあえず、ウォーミングアップ。

どんどん声をかけて行きました。

 

声をかけて、和み、バンゲ。

放流。

 

また、声をかけて、和み、バンゲ。

放流。

 

順調にバンゲをして行く相棒を横目に、僕は唐揚げを頬張っていました。

 

うーん、少し冷たいな。

あんまりいらないかも。

でも、腹減ってるから、美味く感じるな。

 

そんな事を思っていた時、たこ焼きを突く、二人組が目に留まりました。

 

相棒と「あの二人行こうか」と目配せし、二人に声をかけました。

 

僕「こんばんはー。そのたこ焼き美味しそうですね。この唐揚げと交換しましょう!」

 

A子「えぇ…!?」

 

僕「買ったはいいけど、飽きちゃって。いろいろ食べられた方が、いいと思うよ!」

 

A子「いいですよ」

 

僕「ありがとう!はい、あげるね!」

 

B美「はい、どうぞ」

 

僕「せっかくやから、あーんってして!」

 

B美「…」

 

僕「ごめん、冗談やって!」

 

 

と、引かれつつも、たこ焼きをゲットしました。

 

ん、それが本来の目的ではないだろうと、ツッコれそうですが、そこは、相棒がしっかりフォローしてくれました。

 

まじ、神アシスト!

 

が、僕の行動がマイナスになりすぎたため、相棒でも、バンゲ至りませんでした…

 

今のところゲットしたのが、たこ焼き一個というていたらく。

このままで終わってしまうのか…!?

 

ただ、まだ船は動き出したばかり。

次つぎ、と、どんどん声をかけ続けました。

 

そうしていると、再びたこ焼きを交換した二人組と遭遇。

2人も僕達の事を覚えていました。

 

相棒の声かけは早い。

相棒はA子を、僕はB美を担当しました。

相棒の方は、うまいこと和んでいるよう。

僕も負けてられんな。

 

マイナスイメージからの、逆転いけるか!?

 

 

僕「納涼船、ホントすごい人だよね」

 

B美「…そうですね」

 

すでに、反応が悪い。

 

僕「さっき会った時は、暗かったけど、ここは少し明るいから、雰囲気が違って見えたよー」

 

B美「そうですか」

 

うーん、なんか話題ないかな。

 

僕「さっきは、暗かったからよく分からなかったけど、お姉さん、あの人に似てるよね」

 

B美「誰ですか?」

 

 

僕「あの、あれ…」

 

B美「…」

 

僕「椎名林檎

 

B美「えっ!」

 

おお

 

僕「なんか、髪型とか、雰囲気とか、すごく似てるよね」

 

B美「えええ!ホントですか!?」

 

おおお!?

なんか食いついたー!

 

僕「うん。さっきはよく分からなかったけど、今はよく分かるよ。よく言われない?」

 

B美「いえ!初めて言われました!ホント嬉しいです!」

 

 

これは、ツボ入ったー!

これは、マイナスからの逆転劇あるのでは!?

 

B美「ホント、納涼船すごい人ですよね。ダンスフロアにいる人とか、ガヤガヤしててすごいです」

 

僕「そうだねー」

と、返事をしつつ、ここで2人をセパれば、上手くいくかも!?

なんて、考えていました。

 

さあ、ここが、正念場。

 

果たして、僕はここから上手くセパれるのか。

納涼船に夢はあるのか…!?

 

 

つづく